この問題は10か月の男児の急性腹症に関するものですね。ポイントとして：
• 主訴: 嘔吐と血便
• 経過: 昨日正午から嘔吐、本日16時から胆汁性嘔吐 → 血便出現
• 状態:
• 意識：混濁し、痛み刺激で開眼
• ショック状態: 血圧 60/40 mmHg, 心拍数 192/分, 呼吸数 44/分, SpO₂ 96%
• 脱水徴候: 皮膚ツルゴール低下、口唇乾燥
• 腹部：軽度膨隆、全体に硬く打診で鼓音
• 血液検査:
• 赤血球 468万, Hb 12.9 g/dL, Ht 40%, 白血球 20,300, 血小板 15.7万
• 代謝異常なし

この症例の典型的な疾患として「腸重積症」が疑われます。

腸重積症は10か月児に好発し、嘔吐（初期は非胆汁性→進行すると胆汁性）、血便（「イチゴゼリー状」）、腹部膨満、腸閉塞症状を呈します。また、進行すると循環不全（ショック）を伴うことがあります。

適切な治療の選択肢

腸重積症の治療は：
1. イレウス管や浣腸での整復は行わない（腸重積には適さない）
2. 高圧浣腸（空気または造影剤）による整復が第一選択
3. ショック状態や腸壊死が疑われる場合は緊急手術

この患児はショック状態であり、腸壊死の可能性も考えられるため、高圧浣腸ではなく「緊急手術（e）」が適切と考えられます。