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第110回 国試速報掲示板
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B問題
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110B-52
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返信先: 110B-52
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傷が心臓に到達した患者をどうするか?かと思った。 背景の問題から。これは医学の話ではないが・・・。 犯人はサバイバルナイフを振り回しており、無差別の攻撃が行われている。ふつうはそのような人を目撃したら逃げるため、背中を刺されるはずであり、もしくは防御創が手や腕にできるはず。そのような記載はなく、前胸部を刺されていることから、この患者は逃げようとしていなかった、逃げることが考えつかない状況にあったと思われる。つまりこの患者が刺されてた1人目と想定される。そして、他にも数人負傷者がいることから、「犯人が一人につき1本ずつのサバイバルナイフを用意して、刺しっぱなしにしていく」なんていうことがない限り、間違いなくナイフは刺した後に引き抜かれているはず。 医学の話に戻っていく。 問題は胸が「肺」なのか、「心臓」なのか。ショック状態なので 肺⇒緊張性気胸 心臓⇒出血性ショック が疑われる。でどっちか?なんだけど、 出血しているという所見が明確にあり、ショック指数が1.5なので「1.5Lの出血」が疑われる。問題はこの出血はどこにいったのか?外に噴き出していると考えても悪くはないが、「衣服には径数cm程度の血液が付着している」とある。とくに血圧が下がり、血が服に滴らないほどの噴き出す出血をしたとも考えにくい。(ちなみに後述するが、この「出血痕が小さいのはこの外に激しく噴き出したため」説でも答えは変わらない)。1Lもの出血が傷口から出たのなら「数cm程度の血液」どころではない。服が血に染まるレベルだろう。つまり「体表面に出てきていない出血」があると考えられる。となると #1.心破裂による出血性ショック は確実にあるだろう。緊張性気胸が併発し、気胸と胸腔内出血の両方で心臓を圧迫するなどの病態も考えられる。とりあえず、気胸が併発している想定で話す。 51の「まず」すべき検査だが、創部の直接観察ではないだろうか?要するに出血源を直接探したい。出血が胸腔内にあることはほぼ確実で、今更エコーでそれを確認するの?という感じ。エコーで確認しても「出血があるのは知ってたよ」って話で出血性ショックで死ぬかどうかの患者を目の前に、「既にわかっていたことが改めてわかりました、要するに進展はありません」なんて言えないし。 気胸との合併を考えているので、やるならX線。これなら「新たに気胸が併発していることが分かりました」となる。だが、そこで迷わないように敢えて選択肢に入れなかったのではないか、と思う。造影CTも心電図も「予測できている所見」しか見えてこない。なので一番はd.創部直視下検索で、開胸して直視下で出血源を探すべきだろう。出血を止めれば、気胸との併発であっても病態の悪化は防げるし、失血死も防げる。ついでに言うと、これでドレナージも完了するのではないか? 52について。 b.心嚢穿刺だが、心嚢はすでに犯人によって穿刺されている。よって今更いらない。「心タンポナーデが起こるのでは?」とか、「それで起こるのは心破裂では?」みたいな意見が出ているが、そもそも「既にさされている」ため、今更気にしようがない。終わっている処置はもういらないというだけ。もしかしたら、新たに傷を作るだけで害悪しかないから、もし必要な検査でこれを選んでいたら禁忌判定されるのでは?とも考えていた。 a.創閉鎖は「今?」という意見もあるが、心臓が破れているから、心臓の傷を塞ぐのは1stレベルの治療だと思う。病態を改善するにはここからやるしかない。 ちなみに注射針のような細い円柱状のもので刺されたなら心外膜の傷の大きさ=心内膜の傷の大きさ⇒心膜腔に出血、はあり得るかもしれないが、ナイフは先細りで、少なくとも「刺創で3cm」なので3cmの太さはあると思われる。心外膜の傷の大きさ>心内膜の傷の大きさ。ナイフでは心嚢膜に溜まる心タンポナーデではなく、胸腔に溜まる血胸になる可能性の方が高いと思います。
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