返信先: 109F-21
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ぺんちゃん | # Posted on 2015年2月10日 at 22:57 修正 削除 |
出血している、見ればわかるしそれは間違いない。 ハンカチから滴るほどの出血中にもかかわらずわざわざバイタルを測って数値を表示していることにも意味があると思います。血圧と脈拍によって出血に関しては見た目ほど緊急的でないことをすでに確認しているわけです。もちろん、これから止血の処置を開始し、止血完了までの間に一気に血圧が下がる可能性も考慮しておく必要はあり、動脈損傷もそういった要因に含まれてはいますが、この問題の状況で”まず動脈損傷を確認すること”によって得られる情報は、止血の結果を良くすることには少なくとも学生の知っておくべき治療ではなかなか結びつかないはずです(指の動脈の縫合ができるブラックジャックみたいな人がいるなら話は別ですがそれはもはや必修どころか国試の問題ですらありません)。ひとまず、循環に関する緊急性の有無についてはある程度知ることができたので、他に縫合のための感染リスクも確認しておく必要があり、なおかつ動脈損傷の確認より侵襲度が低く短時間で確認することができる”異物確認”は先に行うことができると思います。「小さな異物までジックリ観察しなきゃいけないのか!?」というのは極論過ぎます。一度異物確認すればもう確認しないということはありません。まず見える範囲でさっと確認すればいいのです。 むしろ、血が滴るほど血液が溢れてくる出血で動脈が損傷している部位を止血する前にわざわざ1.5cmの傷口をパックリ開いて肉眼で観察しようとするとますます出血が激しくなるのではないでしょうか。そもそも微細で人によって走行のバリエーションが大きそうな指の血管を洗浄前で血まみれの傷口をさぐって目の前の異物より先に同定可能なのでしょうか?「血まみれでなければ動脈を確認できる。なら先に生食で流して・・あれ洗浄より出血を止めるのを優先するんじゃなかったっけ?」と主訴出血なはずなのに確認を進めようとすると順序が逆転するといった、おかしなことになります。大きな血管ならまだしも指でそこまでする必要ないと思いますし、血管損傷の確認は圧迫止血の後、洗浄時の異物の確認と同時に可能です。そのほうが動脈損傷の確認は安全かつ発見しやすいと思います。なんども言いますが、まず確認した血管がどちらであろうと学生の知る対応は圧迫止血、かつ緊急性も低いので動脈が確実に損傷しているかどうかの情報は圧迫止血の後でもかまわないのです。 この問題はおそらく大量出血への対応というより救急における創傷に対する外科的処置がテーマなのでしょう。小さな傷に生の肉片がついただけなら出血のリスクに比べて感染によるリスクは大したことはないですが、この場合は止血後縫合することになるので、異物を残したまま閉創すればどうなるかはお分かりのはずです。「普通ならついた異物は真っ先に洗っているはず、取り除いているはずだから確認しても異物なんかないはず」というのは、患者さんがどんな方でハンカチを巻く前はどういう状況だったかについては全くといいほど記載がないのでこの問題でそこまで考えるのはナンセンスです。 過去問の99C45では”動脈断裂の確認”が答えになっていますが、この場合は下肢の交通外傷であり異物の有無は既に問題文に記載されており選択肢の中にはありませんでした。「出血してる、主訴は出血だし循環血液量減少性ショックが怖いから大量出血が関係してそうな動脈損傷をまず確認。過去問にも出てたし間違いない」なんていう試験で使われるテクニックを実際に現場に持ち込むと状況によってはおかしな間違いが起こるぞ、というメッセージのこもったニガめの良問だと思います。 |